デザイナー+エンジニアが目標を共有したら?(BaPA卒業制作展) その3

みなさまこんにちは。コアネットの清水です。

先日、京都五条のMTRL京都で行われた、

BapA3期生京都チームの卒業制作展と、プレゼンテーションを見学させていただきました。

デザイナー+エンジニアが目標を共有したら?(BaPA卒業制作展) その1 - Arts in Schools

デザイナー+エンジニアが目標を共有したら?(BaPA卒業制作展) その2 - Arts in Schools

第3回は、1→10drive森岡さんのお話を中心に、ものづくりの新しいあり方を考えます。

 

京都で行われたBaPA京都チームの卒業制作展では、

制作チームによるプレゼンテーションがあったのですが、その前に、BaPAの講師であり、1→10drive, Inc. - ワン・トゥー・テン・ドライブのCTO、森岡東洋志さんの講演がありました。

デザイナーとエンジニアの協働とはどういうことか、わかりやすく説明してくださったので、ご紹介します。

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森岡さんは、1→10driveのCTOとして、様々なプロジェクトにかかわられています。以前はソフトウェア開発のエンジニアをされていたのですが、現在は、技術をベースに、もっと広い領域で、テクニカルディレクターという立場でお仕事をされることが多いそうです。

最近のお仕事の一つとして紹介されたのが、GUM-PLAYというIoT家電です。

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www.gumplay.jp

これは日ごろの歯みがき習慣を「やらなくちゃ」から「やりたい」に変えることを目的として開発された製品で、歯ブラシの柄の部分に取り付けたGUM-PLAYをiPhoneのアプリと連動して磨き方をチェックしたり、楽器が演奏できたり、モンスターをやっつけるゲームができたりする、IoT家電です。

 

この開発は、最初の段階から、森岡さんと、PARTYのクリエイティブディレクター伊藤直樹さんの共同開発が行われています。なので、例えば歯みがきで演奏ができるようになったら?というアイディアも、デザイン側、エンジニア側のどちらかから出てきた訳ではなく、どんなことができるのかを一緒に試行錯誤したからこそ、出てきたアイディアです。アイディアが最初から出そろっていたわけではなく、プロトタイプをつくりながら、アイディアを整理していく、という進め方です。

 

これって、BaPAのコンセプトと同じなんですよね。これまで多かったつくられ方は、コンテクスト=コンセプトが先にあり、それをデザイナーが設計し、エンジニアが具体化する、というものでした。きっとその間には「発注」というプロセスがあり、指示する側とされる側の立場で、指示通りにつくり、指示通りにできているかのチェックをし、という、上流から下流への工程があったと思われます。

近年この工程を誤解なく、スピーディーにつくるために、「アジャイル開発」という、作成過程でプロトタイプをつくり、テスト運用をして改善をしながら進める、という仕組みが使われはじめています。

 

森岡さんが関わる仕事やBaPAのプロセスはさらにちょっと違います。

プロジェクトのスタートのところから、デザイナーとエンジニアがチームに入り、コンセプト構築と技術開発を同時に行う。異なる専門性を持つデザイナーとエンジニアが目的を共有してアイディアを出し合うことにより、どちらか一方だけが考えるよりも幅の広いアイディアが出せ、実現可能性も高まる、というメリットがあります。そして、GUM-PLAYは、とにかく、楽しそう!歯磨きについての課題をただ解決するだけではなく、「こんなことできたら、面白いんじゃない?」といったように、「楽しい解決策」が考えられているなあ、と思います。

 

BaPAのチームでも、デザイナーとエンジニアが混在したチームで、まず全員で街歩きをし、感じた事を共有しあった上で、どんなものをつくると、歩くことが楽しくなるかについて、一から一緒に考えているからこそ、面白い企画がたくさん生まれたのではないでしょうか。

 

このような仕組みにすると、イノベーションが起こりやすくなる一方で、デザイナーにもエンジニアにも、これまでよりも広い範囲で物事を考える力が必要となってきます。デザイナーは、「きれいにかっこよく仕上げる」ことだけでなく、その製品やサービスの使われ方や、使う人の体験もデザインする力、エンジニアは、具体化された要望ではなく、もっとふわっとしたニーズに、どう技術的な解決が出せるのかを考える力、そういったものが求められてきます。

 

そして!これって、ものづくり以外の世界にも、応用できますよね。オーダーや注文をまっすぐ流して運用するだけでなく、関わる人全員が目的を共有して、アイディアを出し合う。そして、それぞれの専門性は大切にしつつも、遊び心を持ち、お互いにちょっとリーチする。

どんな領域でもそれが実現できると、イノベーション、起きやすくなるのではないかな、と今回あらためて感じました。