これからの社会で求められる、デザインの能力とは?(Hack Osaka レポート1)

2017年2月9日、大阪で行われた、Hack Osaka というイベントを見学させていただきました。

Hack Osakaとは、大阪イノベーションハブ(Osaka Innovation Hub)さん主催の、大阪でのイノベーション創出を支援するためのイベントです。講演の登壇者も、後半のピッチコンテスト出場者も、参加者も、大阪の方だけでなく、日本はもちろん、色々な国から参加されていて、基本英語で進行されるという、国際的なイベントでした(日本語のサポートもありました)。

 

今年で5回目の開催だそうですが、テーマは「イノベーション文化を創る『デザイン』の力-The Power of Design for Innovative Culture―」でした。イノベーションという文脈で、デザインについてどんなことが語られるのかが知りたくて、参加しました。

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私はずっとStage Area にいたので、そちらでの話をレポートしていきますね。

 

まず、最初の登壇者は、株式会社グッドパッチ 代表取締役社長の土屋 尚史さんでした。

28歳でサンフランシスコに行き経験を積み、5年前に東京で起業し、5年で100人のデザイナー、エンジニア、PMを抱える会社を経営されています。

goodpatch.com

まず、最近の傾向として、大企業がデザイン会社を買収するケースが増えている、と土屋さんは指摘します。そしてそれは、シリコンバレーのTec企業、GoogleAdobeFacebookから始まったそうです。また、近年成功するスタートアップは、デザイナーが創業メンバーに入っているケースが多いそうです。

 

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ではなぜ今デザインが注目されているのか?

 

その理由を土屋さんは「情報にあふれ、混沌とした社会、選択肢の多い時代だからこそ」と、結論づけます。

 

つまり、プロダクトの価値がexperienceで判断される時代になった今、プロダクトのUI(ユーザーインターフェイス)、UX(ユーザーエクスペリエンス)が、成功のカギとなり、そこをきちんとデザインできるデザイナーが求められている、ということです。

 

例えば、旅行者と宿泊場所を提供したい人をつなぐサービス、Airbnbは、サイトのデザインはもちろん、「ゲストがホストをより知る」ためのデザインがうまくできているからこそ、成功を収めているそうです。

www.airbnb.com

 

デザインソフトが使いこなせ、見た目がきれいなものがつくれるだけでなく、ユーザーの行動や経験をデザインすることができ、また、ユーザーの声を聞きながらつくりこみができる人が、デザイナーとして求められている、ということなんですね。

 

デザイン変革は、見た目の話ではなく、デザインによって、人々の感情や行動様式を変えるということ、そして、経営者がそういったデザインの重要性に気が付き、投資ができるかどうかが、これからのビジネスでは大切だ、ということでした。

 

土屋さんのお話をうかがいながら、このデザインの定義の広がりについて、考えていました。おそらく今デザイナーに求められている力は、これまでも、優れたデザイナーが持っていた能力です。だから彼らにとっては、表現の場が増えた、ということなのではないかな、と思います。ではそれはどのような教育で身につくのか。思考法のインプットが先か、試行錯誤が先か。また、仕事としてデザイナーを目指す人が増えたら、教育はどんなふうに変わるのか。

みなさんは、どう思われますか?