これからの子ども達の発表の場はどうなる?
この3か月、子どもたちの発表や表現の場はどうなったか
大人も子どもも、いつもどおりとはいかない3か月でした。できないことが増えた一方、オンラインでの新しい可能性も広がりました。学びや学びの場について、この3か月で何が足りて、何が足りなかったのか、もやもやと考えていたら「発表」や「表現」といったキーワードが浮かんできました。
学校に行けないと、学校という場で得られる発表や表現の場を得ることが難しくなります。これには、授業などで提示された課題に取り組むという、いわば公式なものと、友達どうし何かを見せ合うという、非公式のものがあるでしょう。
また、1つの学校という枠を少し広げた発表、表現の場としては、部活動の大会やコンクールがあります。人がリアルな場に集まらないと成立しないものは、今年は中止や延期になっていますね。
さらに、学校という枠とは直接関係ないコミュニティもありますね。習い事や友達、共通の興味、趣味のコミュニティに属している人もいるかもしれません。
ざっくりと表に整理してみました。
学校 | コミュニティ | 社会 | |
---|---|---|---|
課題 |
提出物/グループワーク |
部活動/大会/コンテスト | 公募課題に応募/プロジェクト参加 |
自発 | 自由研究/探究/趣味、興味の共有 |
作品共有/知識共有 |
自主プロジェクト /SNS発信など |
まず<課題>カテゴリーについて
<課題/学校>は授業や学校の取り組みとして出される課題に取り組むものです。授業で問題を解くことや、テーマのもとに表現をする、グループで取り組む場合は、グループの成果を見合うケースと、グループ内で発言、表現しあうこともあるでしょう。
<課題/コミュニティ>は学校で一律に実施をするものではないが、学校の枠の延長、もしくは同年代で、同じカテゴリーの人たちで集まって課題のもとに取り組むものを指します。部活動とか試合、ある基準で評価される発表会やコンテストなど。学校外の活動も含みます。
<課題/社会>年代や属性を超えた世界で何かの課題に取り組んだり、プロジェクトに参加したりする。
「学校」「学校の延長」「社会」の順に、だんだん活動の範囲が広がるイメージです。
続いて、<自発>カテゴリーについて
<自発/学校>学校で、自発的に取り組むプロジェクトと、個人的に取り組んでいることを友達に共有する。
<自発/コミュニティ>学校という枠を超えたコミュニティで、自己プロジェクトや個人的に取り組んでいることを共有する。
<自発/コミュニティ>自己プロジェクトや個人的に取り組んでいることを広く一般に共有する。
自発的な表現やプロジェクトだと、課題を出す人や組織がないので、境界があいまいになりますが。
もっと子ども達が安心して発信できる場を
リアルな場が設けられなくなり、一部インターネット上に設けられた時、少なくなりそうなのは、この中でどれかと考えると、<社会>の部分はもう場所が準備されていてほぼ問題なく置き換えられ、それ以外の<学校><コミュニティ>の部分が、少ないように感じませんか?
例えば学校で、一緒に課題に取り組んだクラスメイトの作品を見て「へー、こういう視点があったのね」と発見をするとか、友達の趣味や興味の話を聞いたりとか、安心、安全な場で自己を表現する機会が、この3か月、減っていると私は感じます。中学生以上だとクラスメイトとのSNSグループでやりとりをしたり、オンラインで授業をされている学校で、生徒どうしのコミュニケーションを意識されているケースもあると思いますが、全体としてはその機会が減っているのではないでしょうか。
学校が再開したら、インプットだけでなく、子どもたちどうしの発表、表現の場も、徐々に復活していってもらいたいです。そして、オンラインでもそういう場がもっとできたら!SNSやYoutubeで誰もが発信できる時代ですが、中高生でも突然そこに飛び込むのはハードルが高く、リスクもありますよね。大人が大半のメディアやコミュニティでもリテラシー高く、堂々と発表している子どもたちもいますし、それは素晴らしいことだと思いますが、全員そこでチャレンジ!というのは、乱暴なことに感じます。やはりまずは安心、安全な場所で、試行錯誤をしながら表現のトレーニングをしてもらいたい。という視点で、良いなと思う事例を3つ紹介します。
サレジオ学院の中学2年生の生徒さん達が、この期間中に取り組まれた「俺の料理」は、オンラインで<課題/学校>を実現されています。
http://www.salesio-gakuin.ed.jp/blog/diario/15063.html
兵庫県芦屋市にある造形教室「アトリエ Laugh & Rough」では、インスタグラム上で「ラフラフ美術館」を開催されています。教室に通っている人だけでなく、広くアート作品の写真を募集し、掲載することで、お互いが作品を見られる場をつくられています。(<自発/コミュニティ>といえるでしょう)
ものづくりに関わる人達が、その記録を残すことを目的としてつくられたFabble<自発/コミュニティ>も、大きな共通の興味の中で、自由な表現のシェアがされています。
思うように外出したり、集まれない状況科でも、個々人の創作活動は続いていると思います。それをシェアできる安心、安全な場所は、工夫次第でオンラインでも色々とできるのではないでしょうか。
#アート教育 #STEAM教育