2018年のアートについての思考は、「個性」と「環境」がキーワードでした

みなさまこんにちは。清水葉子です。

各地で雪が見られるなど、急に冬らしくなってまいりましたが、お変わりなくお過ごしでしょうか。

2018年もあと1日となりました。

今年もこのブログをきっかけに、多くの方と出会えたこと、とてもうれしく思っています。また、ブログ読んでるよ!と色々なところで言っていただき、本当にうれしかったです。ありがとうございます!

 

ブログを振り返ってみると、今年のテーマは「個性」だったなぁ、と思います。

それぞれが持つ個性を最大限に発揮することが、それぞれの創造力を伸ばす、そして、その個性を発揮するための手法が、アートだ、という考え方です。

 

東北芸術工科大学の有賀三夏先生が実践されている、多重知能理論、芸術思考は、その部分を大切にされています。

個性はinputにもoutputにも発揮される-自分の強みを見つけよう-「8つの知能」で未来を切り開く を読んで - Arts in Schools

 

ピカソプロジェクトを主催されている、合同会社エデュセンスさん。子ども達がリラックスしてどんどん描きたくなる場づくりが、すごいです。

子ども達の表現力を伸ばす!ピカソプロジェクト-アートの特別授業 at 波除学園 - Arts in Schools

 

・個性爆発、を感じたのは、ラーンネット・グローバルスクールです。自分たちで考え、実践できる場を多く用意すれば、子ども達は伸びるということを感じました。

「自ら学ぶ力」と「探究心」を育むラーンネット・グローバルスクール。その環境とカリキュラムとは? その1 - Arts in Schools

 

「自ら学ぶ力」と「探究心」を育むラーンネット・グローバルスクール。その環境とカリキュラムとは? その2 - Arts in Schools

 

発揮するだけでなく、学ぶ部分にも、個性を考慮したほうがうまくいく、という考え方にも、あらためて感銘を受けました。

 

・こちらの本には、ものづくりをベースに個人が試行錯誤するための環境の作り方が紹介されています。

「ティンカリング」が学びを発明するー「作ることで学ぶ―Makerを育てる新しい教育のメソッド」を読んで - Arts in Schools

 

・また、こちらの本には、教科の先生+芸術の先生がペアで授業を行うことで、子ども達が多様な学び方ができる環境を作る方法が紹介されています。

教科を超えた協働がSTEAM教育を実現する―「AI時代を生きる子どものためのSTEAM教育」を読んで - Arts in Schools

 

このように振り返ってみると、アートと個性に加え、環境が、大切なキーワードになっていることがわかります。

 

折しも6月に文部科学省経済産業省から発表された文書から「学びの個別化」という方向性が見えてきました。STEAM教育やものづくり教育の実践例もでてきました。来年は、学校という現場で、アートがどのように作用していくのかに、より注目し、またブログに書けたらいいなあと思っています。

2019年もどうぞよろしくお願いいたします。

生徒がアーティストの作品を紹介する、富士見丘中学校・武蔵野美術大学「Feeling展」

 

みなさまこんにちは。清水葉子です。先日、東京都渋谷区にある富士見丘中学校で行われた、武蔵野美術大学と共同開催の「Feeling展」を見学させていただきました。富士見丘中学校・高等学校の中学1年生~3年生と、高校2年生で行われている探究学習「自主研究5×2」の一環で、中学2年生の生徒さんたちが、武蔵野美術大学の学生およびプロのアーティストの作品と、キュレーションについて半年かけて学び、来場者に作品の解説を行うというアートイベントです。

 

f:id:yShimizu:20181220102935j:plain

6回の授業で、武蔵野美術大学を訪問し、アートについて学び、アートの制作現場を見たり、美術館の学芸員の方に講義を受けたりしながらアートの知識を深めていきます。また、数名ずつのグループに分かれ、解説を担当するアーティストとのコミュニケーションを行い、作品についての情報を集めます。また、展示会場のレイアウトやおもてなしの方法の検討も行います。

 

全体のキュレーション、アーティストの選定は、武蔵野美術大学芸術文化学科教授の杉浦幸子先生がつとめられます。

 

当日の会場の様子です。

f:id:yShimizu:20181220103205j:plain

f:id:yShimizu:20181220103256j:plain

日本画、写真、油絵など色々な作品を、それぞれ担当の生徒さんたちが解説してくれました。解説を聞くことで、作品自体にも発見があるのですが、特に面白かったのは、その作品にまつわるエピソードです。例えば、あるアーティストが動物の絵を描くために、何度も特定の動物園に見にいくこと、あるアーティストが絵をあえて未完成にしておく理由など、アーティストの人物像が見えてくるようなお話を色々とうかがうことができました。これは生徒さん達がアーティスト本人から直接話を聞いているからこそ、親近感を持って語れるのだと感じました。アーティストの方達も、生徒さんたちの素朴な疑問や感想が、刺激になるということでした。

 

作品制作に使われている画材の展示コーナーや、映像コーナーもあります。

f:id:yShimizu:20181220103421j:plain

生徒さんたちによるお茶のサービスや、感想の展示コーナーも素敵でした。

f:id:yShimizu:20181220103522j:plain

生徒さん達を通してアートを身近に感じることができる、とても楽しいイベントでした。

見学させていただき、ありがとうございました。

 

プラットフォームはどう「デザイン」されるのか―「プラットフォーム革命」を読んで

みなさまこんにちは。清水葉子です。

例年よりあたたかいとはいえ、いよいよ本格的に寒くなってまいりましたが、風邪などひかれていませんか。

私は9月、10月と原稿やインタビューが立て続けにあり、終わったところでどっと疲れが出ました。が、休息もかねて色々な本を読むことができました。アートを題材にした小説にも夢中になりまして、そちらについても改めて書きたいと思うのですが、本日はデザインの視点でビジネスのプラットフォームについて書かれた、

「プラットフォーム革命」-経済を支配するビジネスモデルはどう機能し、どう作られるのか について、ご紹介をいたします。

 

f:id:yShimizu:20181111223717j:plain

Amazon CAPTCHA

 

こちらは、自らもプラットフォームの運営、構築支援をされているアレックス・モザド氏、ニコラス・L・ジョンソン氏による、「プラットフォーム」というビジネスモデルの分析と、そのデザイン方法の解説書です。

 

ビジネスにおけるプラットフォームとは、消費者と、サービスやプロダクトの提供者(本書ではプロデューサーと呼ぶ)を結ぶためにつくられたマーケットのことです。

様々なアプリが購入できるApp Storeや、FacebookYou Tubeもそうです。

プラットフォームでやり取りされるものは、様々ですが、そのプラットフォームが無ければ、価値を生まなかったものも多くあります。

空き室や空家を宿泊施設として提供する、airbnb(エアビーアンドビー)も、そうですね。

airbnb TED - Bing video

 

上の動画では、airbinbの創業者であるジョー・ゲビア氏がそのデザインについて語っていますが、本書でも、それらがどうデザインされているのか、さらに、プラットフォームとして機能するまでにどういった準備が必要なのかについて、様々な事例を用いて解説がされています。

 

インターネットの発達により、多くのプラットフォームが実現可能になった一方、機能するものとして作り上げるには、たくさんのアナログな努力が必要だし、やはりアナログでうまくいかないものはデジタルでもうまくいかないということが、本書を読んでよくわかりました。ただ、優れたデザインにより良いプラットフォームをつくることができれば、消費者とプロデューサーの双方が良い影響を与え合い、単独の提供者だけでは無しえないような大きなムーブメントを起こすことができるんだなと、本書を読んで感じました。

 

一人ひとりがアイディアを出し合ってつくる面白い場、それが育つ環境をデザインするのが、プラットフォームをつくるということなのかもしれません。巨大なプラットフォームにばかり目が行ったり、脅威に感じてしまうこともありますが、まだまだ新しいプラットフォームができる余地があるのかなと、期待を持てる本でした。

演劇というアートについて―「わかりあえないことから-コミュニケーション能力とは何か」を読んで

みなさまこんにちは。清水葉子です。

暑かった日本の夏がようやく過ぎ去り、すっかり秋になってまいりました。

1年を通して行事があまり多くない10月、11月は、読書が進むので私が好きな季節です。

 

さて本日は、演劇というアートについて書いてみたいと思います。

造形と比べて、見る方も演じるほうも個人的にあまり経験が無い演劇について、アートやアート教育においてどのように捉えて位置付ければ良いのかわからなかったので、劇作家、演出家で、子どもから大人まで、数多くの演劇ワークショップを行われている平田オリザさんのご著書を読んでみました。

2012年に出版された「わかりあえないことから-コミュニケーション能力とは何か」という本です。

http://urx.blue/MxqS

 

コミュニケーションとは何か、という話から本書は始まり、そのわかりやすい定義にも納得をさせられるのですが、教育現場や社会でのこれまでのコミュニケーション教育におけるダブルバインドの解説が特に興味深かったです。それは「思ったことを自由に表現しなさい」と言われる一方で「空気を読みなさい」と言われるといったようなことで、その他の表現教育とも共通する部分が多いと感じました。

 

平田オリザさんの演劇ワークショップでは、役割、状況設定が与えられた上で、セリフは自分たちで考えるというものです。これが、自分とは違う立場にいる人がどのように感じ、どのように言葉を発するのか(発しないも含め)考える機会となり、人生の経験になる、というところが、面白いと思いました。

 

またもうひとつ大切な要素としては、平田さんの演劇ワークショップの表現には正解が無いということです。それはきっと、普段の自分と違う立場を自分ごととして経験し、感情や表現を発見することが大切で、違う立場の人の気持ちを決めつけるものではないからなのではないかな、と感じました。

 

「自由に表現できる環境と機会があり、そこでの試行錯誤を通して自分で発見をする」これが最近私が良いと思っている場なのですが、この本を通して、それが演劇という環境にもある事に気が付かされました。読むまでに購入してから2年も経ってしまっていて、もっと早く読めばよかったです。

 

文化の違いによる言葉の捉え方の違いや、演劇についてなどもとっても面白かったです。秋の夜長の読書にお勧めの1冊です。

 

#わかりあえないことから

#コミュニケーション能力とは何か

個性はinputにもoutputにも発揮される-自分の強みを見つけよう-「8つの知能」で未来を切り開く を読んで

こんにちは!清水葉子です。

今年は全国的に猛暑が続きましたが、みなさまお変わりないでしょうか。

これだけ暑いと毎日生きているだけで自分を褒めたくなりますね。でも本日で8月も終わりなので、あとは涼しくなる一方です!

 

さて、本日ご紹介するのは、東北芸術工科大学の有賀三夏先生が書かれた「自分の強みを見つけよう」です。本書では、ハーバード大学の心理学教授、ハワード・ガードナー氏が生み出した多重知能理論(MI理論)について、わかりやすく解説がされています。

 

f:id:yShimizu:20180831103815j:plain

http://ur2.link/LJqD

 

多重知能理論とは、人にはもともと「8つの知能」が備わっていて、それぞれに強い知能(強み:複数の場合も多い)があり、それを意識しながら活動をすることで能力を伸ばすことができる、という理論です。人の知能を測る有名な指標としてIQや学力テストなどがあるため、評価をそこにゆだねがちになってしまいますが、それでは人の知能の1部分しか測れていないため、8つの知能という観点で考えることで、よりその人の知能が見えてくる、そして、8つの知能の組み合わせがあるからこそ、人それぞれの個性、強みも見えてくるということです。

 

私見ですが、IQや偏差値には共通のテストがあり、それによって客観的な数値をつけるというイメージがあります。一方、多重知能理論には、8つの知能について、自分についての強弱を考えるという、自己評価のイメージがあります。能力の伸ばし方についても、どの知能を使っているのかを確認しながら、能力を伸ばしていくという方法なので、自分を見つめ、やってみて、振り返るという、自己を中心とした成長サイクルがつくりやすいように感じました。

 

また、すごく面白いと思ったのが、どの知能が強いかによって、人それぞれ物事の理解の仕方、学び方が違うという点です。これは個人的にも経験してきたことです。例えば図解して説明したほうがわかりやすいだろうと思って図解すると、全然伝わらず、文章化したら理解してもらえたりということがこれまでもあったのですが、それは理解力の優劣ではなく、その人のタイプ、個性の違いなんだと、本書を読んで感じることができました。この考えに基づくと、学校現場でもみんなにとってベストな教え方、というものは存在せず、それぞれが自分に合った学習方法を選べるということが、それぞれにとってのベストになる、ということになりますね。

 

これからの学習環境はどうあるべきかということに思いをはせながら、とても楽しく読むことができました。1つの尺度だけで判断されたり、1つのやり方しか選べない環境を息苦しく感じている人にはぜひ読んでいただきたい1冊です。8つの知能についての詳しい解説もされています。

 

有賀先生は、この多重知能理論に基づき、人の創造力を引き出すための方法の研究、実践を行われています。それについても先日取材をさせていただきましたので、あらためてこちらのブログでご紹介できればと思います。

 

↓有賀先生のこちらのご著書もぜひ。

arts.hatenablog.jp

 

#自分の強みを見つけよう

#「8つの知能」で未来を切り開く

これからの教育ではより個が注目される -「未来の教室」とEdTech研究会「第1次提言」を読んで

みなさまこんにちは!清水葉子です。ブログ、久しぶりの更新です。先日、経済産業省の教育に関する有識者会議「未来の教室」とEdTech研究会から第1次提言が公表されましたね。

 

研究会の目的は、日本社会が「創造的な課題発見・解決力」をつけること。

大学、中学校・高等学校、企業、メディアなどの有識者による11名の委員を中心としたメンバーによる4回の会議と、現役の大学生・高校生・中学生や公教育・保育関係者、学習塾やEdTech企業、人材派遣企業等が参加した計5回のワークショップの結果が、提言書としてまとめられたものです。以下のページから、PDFファイルをダウンロードして閲覧できますので、ご興味のある方はぜひお読みください。

 

www.meti.go.jp

 

私も提言書と参考資料を読ませていただき、インターネット環境を前提とした技術をうまく取り入れたり、先生の関わりや、探究の機会を提供することにより、これまでより個人にフォーカスした学びの環境が実現できるようになるのでは!と可能性を感じました。私なりの解釈も入ってしまうかもしれませんが、可能性を感じたいくつかのキーワードを取り上げます。

 

◆学びの生産性

学習にかけた時間に対し、どのくらいの能力が得られたかを表す言葉。提言では従来型の一斉授業や教科ごとに系統立てられた知識を覚えるよりも、もっと生産性の高い学び方があるのでは?という提言がなされています。

 

◆学習者中心

学年や年齢、その人がいる場所によって学べる内容が限定されるのではなく、学習者本人が学びたいことを、学びたいタイミングで、自分に合った学び方で学べる状況です。EdTech(教育改善に貢献するテクノジー)によって、例えば授業動画やオンラインレッスンをすることで、学習者への細かな個別対応が可能になるとともに、個々の学習記録をAIが解析して、これから学習(復習)すべきところを教えてもらえる、という仕組みは、すでに可能になっているようです。

 

◆先生の役割の多様化

これまでのように全員が「教える先生(授業をして知識を授ける)」になるのではなく、生徒一人ひとりの学習状況を把握し個別に対応したり、子どもの探究、思考を育てるために、生徒に問いかけをしたり、寄り添ったり、生徒どうしの学び合いを助ける役割が、これからますます先生にもとめられるようになるのでは?という問いかけがありました。

 

◆個人が責任を伴う「自由」を手に入れて幸せに生きる

決められたことをうまくやる以上に、自分なりの問いを立てて、自分なりのやり方で、自分なりの答えにたどり着く力が、これまでよりもさらにもとめられる社会になりそうです。自分も自由で、他者も自由であるためには、どうすれば良いのか?提言ではひとつの方法が示されてはいますが、他にもありそうです。

 

 

テクノロジーの発達により、学校で先生という人からしか受けられなかった知識の伝授が、どの場所からでも、対何人でも、可能になった。だから、それぞれが今学びたい内容を学びたいペースでも学べるようになった、というのが、Ed-Tech導入の一番の効果だと思います。

 

ではそれを使って実現できる教育は何か?関連して変わるのは何なのか?というと、

実現できる教育は・・・・

・それぞれの学習効率が上がる

・それぞれが学びたいスタイルで学べる

・それぞれが自分の興味関心を深められる(そこに時間が使える)

 

関連して変わるのは・・・・

・先生のあり方、関わり方

・校舎などの具体的な場所の使い方

・学習ソースの集め方(学校外からも得やすくなる)

 

といったところでしょうか。

 

提言書にはこのような問いかけ+それぞれの具体的方法の案が多く出されています。これから教育に関わる人達がアイディアを出し合い、試行錯誤をしていく必要があると思います。

 

ここからは個人的な見解ですが、この方向性がより具体的になり、学習指導要領の改訂や、今の学校の規制緩和にもつながれば、とても魅力的な未来の教室が出来上がるのではないかと思います。

 

そしてそうなった時にこれまでよりもずっとフォーカスされるのは「個(個人)」。自分に必要なものを選び取り、自分にあったやり方で進めていくには、自分についてよくわかっているとともに、自分が向かっていく(向かっていきたい)方向も見えている必要があります。この個をどうやって確立していくかについては、提言書でも記載はありますが、詰め切れていないのではないかなあ、というのが、個人的な感想です。もっというと、この部分にアート教育が求められている気がしてなりません。具体的なアイディアもありますが、またあらためて書きたいと思います。

 

みなさんがこの提言をお読みになってどう思われたかも、ぜひうかがいたいです。

専門分野に自然に触れられる環境づくり ―甲南大学フロンティアサイエンス学部の「マイラボ」

みなさまこんにちは!清水です。先日、神戸のポートアイランドにある、甲南大学ポートアイランドキャンパスを見学させていただきました。甲南大学さんは、以前ブログでも紹介させていただいた岡本キャンパスの他に、ポートアイランドキャンパスと、西宮キャンパス(西宮市)があります。こちらのポートアイランドキャンパスにあるのが、フロンティアサイエンス学部です。

f:id:yShimizu:20180513111858j:plain

フロンティアサイエンス学部で学ぶのは、バイオテクノロジーとナノテクノロジーを融合させた「生命化学(ナノバイオ)」。医学、農学、工学、生物学など、既存の学問の領域を超えて学び、今社会で必要とされている分野の専門性を高めていきます。1、2年次から実験もしながら専門科目を広く学び、3年次より、専門領域を絞っていきます。

 

ポートアイランドキャンパス事務室の、木下 朋和さんに、施設をご案内いただきました。(年度末のお忙しい中、本当にありがとうございました!)

建物内は、理系に特化したキャンパスならではの設備やデザインとなっています。

 

↓こちらは、実物の10億倍のDNAの模型。構成が忠実に再現されているそうです。

f:id:yShimizu:20180513112201j:plain

 

巨大な地球儀の内部は、落ち着ける図書室になっています。

f:id:yShimizu:20180513112256j:plain

実験設備や環境も充実しています。

 

今回見学させていただいた中で、特に面白いと案じたのが「マイラボ」というスペースです。1年次から学生1人ずつに専用デスクとロッカーが準備されていて、いつでも自由に使うことができます。

f:id:yShimizu:20180513112406j:plain

まるでオフィスのようです。電源もインターネット環境もある、素晴らしい環境ですね!授業の空き時間にここで勉強したり、課題に取り組んだりできるため、入学時から居場所に困るということはなさそうです。

 

それだけでなく、マイラボには様々な工夫がされています。まず、1年生から3年生まで、あえて学年をバラバラにして席を配置しているため、自然と学年を超えた交流が生まれます。勉強のこと、生活のこと、専門分野のことなど、先輩から色々と教えてもらうことができそうですね。

 

また、マイラボは、4つのフロアに分かれていて、それぞれが4つの研究ゾーン(「有機化学・高分子化学」「無機化学・ナノテク」「核酸・ナノバイオ」「細胞・バイオ」)に隣接しています。半期ごとに席替えがあり、1年生、2年生は全てのフロアを経験することになるそうです。それぞれの研究ゾーンに所属する3年生の話を日々聞けますし、研究室の雰囲気も、感じ取ることができます。これが、3年次の専門分野専攻の際のミスマッチを防ぐそうです。

各研究室や実験室はガラス張りになっているので、どんなことをしているのか、観察することができるようにもなっています。

 

実験が多い研究室では特に、所属すると長い時間を過ごすことが多いですから、研究内容はもちろん、先生や先輩の雰囲気も気になるところです。研究内容についても、名称から抱いていたイメージと、実際の研究内容に少しズレがある、ということもあるでしょう。日常的に雰囲気を感じられたり、直接話を聞ける環境にあると、研究室の選択前に、時間をかけて考えることができそうです。また、4年生、大学院生と専門性を高めていく前に、他の分野のことや研究室の存在を知っておくことも、将来的に役立ちそうです。

 

キャンパスの設計にあたっては、甲南大学の先生方が色々なアイディアを出されたそうです。マイラボや全体のゾーニングなど、学生さん達が学びを深めていくための環境がよく考えられていると感じました。

 

見学をさせていただき、ありがとうございました!

 

甲南大学さんのホームページはこちらです

www.konan-u.ac.jp

 

↓岡本キャンパスiCommonsの記事はこちらです。

arts.hatenablog.jp