自主性と創造性を育てる、モンテッソーリ教育の環境設定

みなさまこんにちは。清水葉子です。

本日は、モンテッソーリ教育について、書きたいと思います。

この1年半、こちらのブログでも、また、それ以外の活動でも、子どもの創造力を高める環境について考えてきましたが、振り返ってみると、モンテッソーリ教育の考え方やあり方は、自主性、創造性を高めるための環境、方法と重なる部分がとても多いと感じます。

 

個人的な話ですが、私の子ども達が通った保育園は、偶然モンテッソーリ教育の実践園で、「お仕事の時間」という活動の時間が毎日ありました。保護者会などで、先生からその考え方について教えていただいても、その時は、正直良く理解できていなかったのですが、その後、仕事で関わらせていただいた幼稚園でモンテッソーリ教育が行われていて、園長先生にモンテッソーリ教育について教えていただき、はじめて体系的に理解ができました。

 

モンテッソーリ教育、日本では0歳~6歳の実践がほとんどですが、海外では、15歳くらいまで、場合により18歳までのプログラムが実践されています。

 

「敏感期」がモンテッソーリ教育のポイント

モンテッソーリ教育は、イタリア人の医師、マリア・モンテッソーリ博士(1870-1952)が、20世紀子どもの研究をする中で生まれた教育方法です。すごく要約すると、子どもは、発達段階においてそれぞれの「敏感期」を通過します。重いものを持ちたい、不安定なところを歩きたい、小さいものをつまみたい、など、発達段階によって違うのですが、とにかくその動作をしたい、それを繰り返したいという衝動にかられる時期です。その動作に集中して、満足するまで取り組むことで、それができるようになるだけでなく、心も満足し、落ち着く、という前提に基づいた教育です。この、敏感期に求める動作をすることが、それぞれの成長に必要な「お仕事」と位置付けられています。お仕事の内容は様々で、掃除や調理など、生活の中での動作のこともありますし、切る、並べる、といった動作が教具のこともあります。いずれも、それぞれの敏感期に必要な動作をシンプルに実践できるような工夫がされています。

 

みなさんも、大人になってから子どもを観察して、なんでこんな事をするんだろう、そして繰り返し同じことをしたいんだろう、と不思議に思われたことはないですか?私は親になってから何度もそれを体験しました。寒い中、駐車場に描いてある円に沿ってえんえんと楽しそうに走り続ける息子を見て、なんともいえない気持ちになったこともあります。でもそれが成長に必要な動作だとわかれば、少しだけ待ってあげようかという気になりますね(状況にもよりますが)。

 

自主性を育てるための環境設定

モンテッソーリ教育の原点には、「子どもの発見」があります。子どもは大人とは感じ方、物の見方が違うという発見です。そして成長過程により、自身で必要なものを発見し、熱心にとりくむことで、体も、心も成長していく、という考え方です。この考えに基づくと、先生の役割は、生徒が自己成長をするのを助ける、という関わり方になります。

 

なので、モンテッソーリ教育を実践されている保育園、幼稚園は、その環境にとても配慮がされています。お仕事の時間は、基本的に子ども達が自分で教具を選び取り、お仕事をするので、選びやすく、教具を自分で出して、自分でしまえる環境となっていますし、それぞれが集中しやすい環境も大切にされています。

 

3歳頃までは、体の動き、動作がメインですが、それより上の年齢では、知的好奇心の敏感期も出現し、だんだんとその割合が大きくなってくるそうです。モンテッソーリ教育には体験→抽象という流れがあり、文字や数字、地図などについても、最初に手を動かして学び、それをベースにして、年齢が上がると、抽象化、概念化して考え進めるようになるということで、小学生のプログラムでも、低学年の間は、算数なども実際に触れるモジュールなどを使うようです。

 

アメリカのモンテッソーリ協会、American Montessori Societyの動画紹介ページにある、上から3つ目の動画「Montessori: The Elementary Years」をごらんになると、小学校での授業の様子がわかると思います。

Montessori Videos | American Montessori Society

 

小学校以降のモンテッソーリ教育

海外でのモンテッソーリ協会は、大きく2つあるようです。

まずは、マリアモンテッソーリ博士とその息子さんが立ち上げた、オランダにある

Association Montessori International

https://ami-global.org/

 

それから、アメリカにある、先に紹介した

American Montessori Society

http://amshq.org/

 

AMSは、ナンシー・マコーミック・ラムバックス博士が自らの教育実践の中でモンテッソーリ教育を知り、AMIのプログラムをアメリカに取り入れ、その後分化した組織です。両組織のホームページでは、小学校以上の学校の紹介や、プログラムの紹介がされています。それらを見ると、小学校でも基本的には個別学習が中心で、時に小グループでの活動を行っているようです。3学年ほどの縦割りでの運営が基本になっているのも、個別学習スタイルだからこそ、できることですね。小学校では知的敏感期への対応とともに、感性、実生活に関係する力を伸ばせる環境を整えているようです。また、さらに上の年齢になると、それらに加え、社会と自身との関係や、職業に関係する学びの割合が増えるようです。個人的成長から、次第にコミュニティへとつながっていくのですね。

 

モンテッソーリ教育の基本にある、自分に必要な学びを選び取り、集団の中でも個々に集中(没頭)する、という流れは、自主性の発達とともに、これまでお話をうかがったり、読んできた、創造性を育てる方法に合致するなあと気づかされます。今日本で注目を浴び始めているのも、納得できます。

 

日本でも、モンテッソーリ教育、またはモンテッソーリ教育の理念を大切にした教育をされている小学校はありますが、私立小学校として認可を受けている学校はほぼ無いようです。こういったスタイルの小学校や中学校が私学として成立し、もうひとつの選択肢として、もっと一般的に選べるようになったらいいなあ、と思います。

 

6歳までの敏感期については、日本モンテッソーリ協会理事の、相良敦子先生のご著書、「お母さんの『敏感期』」にとてもわかりやすく紹介されています。

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