京都発、ものづくりのエコシステムをつくる -Makers Boot Camp二神麻里さんインタビュー
こんにちは!清水葉子です。先日、京都市下京区にあるものづくり拠点、KYOTO MAKERS GARAGE(以下京都メイカーズガレージ)を見学させていただき、コミュニティーマネージャーの二神麻里さんにお話をうかがいました。
<京都メイカーズガレージ外観>
<インタビューをさせていただいた、二神麻里さん>
京都メイカーズガレージは、京都中央卸売市場近くのガレージを改装し、昨年9月にオープンしたばかり。京都市、京都高度技術研究所(ASTEM)、京都リサーチパーク、Makers Boot Campの4社が立ち上げに関わり、運営をMakers Boot Campが行っています。
こちらには、コワーキングスペースとメイカーズスペースがあります。メイカーズスペースでは1時間1000円で、レーザーカッター、3Dプリンターなどのマシンを使うことができ、コワーキングスペースの利用者は割引があります。そして学生は無料(条件あり)!学生とは、大学生以下、中学生、高校生も含まれるそうです。(メイカーズスペース利用者は事前にトレーニングコースの受講が必要です)
<メイカーズスペース>
京都メイカーズガレージが力を入れているのは
1.ものづくりのスタートアップ(起業家)を事業として軌道に乗せること
2.起業をめざす人を増やすこと
の2つです。
まず1つめについては、この場を運営されているMakers Boot Campさんの専門領域です。京都にはものづくりの企業が多くあり、そういった企業50社以上が集まってつくった「試作ネット」(https://www.kyoto-shisaku.com/)という団体があります。金属、樹脂の加工や、組み立て、基盤づくりなど、様々な技術を持っていて、新しく何かを試作したい、という要望に応えてくれる組織です。
「はじめてものづくりに取り組む方の試作も請け負ってくださるのですが、試作ネット企業の中で必要な技術を持った企業と複数のマッチングを行う必要があります。一方で、試作ネットのほうも、スタートアップと働くことで最先端技術を用いた開発力を蓄えたいという気持ちがあります。その間をつなぐのが、Makers Boot Campです。弊社には経験豊かなプロジェクトマネージャーがいますので、弊社を通して試作ネットとお話ししていただくことで、コストにみあった試作品を提供できるようになります。もちろん、はじめてものづくりに取り組む個人や組織の試作も請け負ってくださるのですが、そういったところが試作ネットと組むと、試作ネットとしてもものすごく基本的な話からはじめなければならないので、時間がかかります。一方で、試作ネットのほうも、スタートアップから新しいアイディアなどを得たい、という気持ちがあります。その間をつなぐのが、Makers Boot Campです。弊社には経験豊かなプロジェクトマネージャーがいますので、弊社を通して試作ネットとお話ししていただくことで、コストにみあった試作品を提供できるようになります。 小さなコンピューターArduino を用いた展示用試作を京都メイカーズガレージで作った後は、もう量産化が目前なので、量産化を想定した作り方や、工程のデザインをする必要があります。そのための設計図づくりを手伝ってくださるのが、京都メイカーズガレージにおけるMakers Boot Campの役割です。企業の中からそのスタートアップに最適なパートナー企業を選び出したり、場合によってはプロトタイプをつくりだすための投資もしてくださいます。このような支援を通して京都でものづくりのエコシステムをつくり、それを日本中に広げることで、日本のものづくりを世界に発信していきたいというのが、京都メイカーズガレージの目標です(二神さん)」
2つめの「起業をめざす人を増やす」というのは、1のようにものづくりのエコシステムをつくるためにはまず、ものづくりで起業をしたい人を増やす必要があるため、その起業家教育の部分も担っていこうということです。
「日本ではなかなか起業がキャリアの選択肢とはならないんですね。それでは私達がサポートしていきたいスタートアップが増えていかないということで、若い頃からキャリアの一つとして考えてもらえるような環境づくりを目指しています。もちろん、全員が起業家を目指すべきと考えているわけではありません。大企業や中小企業に就職したとしても、創造性を持って仕事をすることが必要なのは、起業家だけではないと思うんです。どんなキャリアを選ぶ人も、創造性を持って仕事をしてほしい、というのが、私達の願いです(二神さん)」
先にご紹介したように、こちらの場所の利用は、学生であれば無料です。大学生だけでなく、中学生、高校生も同様です。大学生になると自分の専攻が固まってきますので、その前からぜひものづくりに関わってほしいというのが、京都メイカーズガレージのみなさんの願いだそうです。
オープン直前の昨年8月には、高校生を対象とした「高校生メイカーズ」というワークショップが、この場所を使って行われました。
「ワークショップは連続講座の形で間を数日空けながら全7回、1回約3時間をかけて行いました。1回目は座学での講義があり、その後、チームに分かれて、「熱中症」「家事」のどちらかのテーマで試行錯誤を行います(3時間×5回)。
まずそのテーマに関する問題、課題を考え、それを解決するにはどういった製品が有効かを考えて、つくってみます。その製品についてマーケットニーズがあるかどうかも、インターネットなどを使って確認をしてもらいました(二神さん)」最終回は外部から審査員も招いてのプレゼンテーションを行い、熱中症対策としてミストが出る日傘をつくったチームが1位となったそうです。
<ワークショップの様子>
アイディアは、3Dプリンターなどで形をつくり、モーターを入れて動くところまで実演したそうで、メイカーズスペースの責任者、コナー・カーク氏がアドバイスを行われたそうです。また、プレゼンテーションでは、10年後の収益などについても発表があり、Makers Boot Camp代表取締役の牧野成将氏が、持続的なビジネスを行なうためのアドバイスを行われたそうです。
アイディアだけでなく、プロのアドバイスを受けながら、実際に形にできる体験ができるのは素晴らしいことと思いました。高校生メイカーズ、2018年の夏も開催されるそうなので、来年の夏に高校生だという方にはぜひチャレンジしていただきたいです!
二神さん、ご多用のところインタビューをさせていただき、ありがとうございました!
↓Kyoto Makers Garageのページはこちらです。