未来のテレプレゼンスロボットを考える―常翔啓光学園中学校の特別授業

みなさまこんにちは!先日、常翔啓光学園中学校の中学1年生の特別授業を見学させていただきました。

会場は、今年の春、梅田に完成したばかりの、大阪工業大学の梅田キャンパスです。

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こちらには、大阪工業大学のロボティクス&デザイン工学部が入り、ロボット研究、開発を中心とした設備や研究室が並びます。

 

www.oit.ac.jp

 

授業が行われた空間も、ワンフロアほぼ間仕切り無しの広い空間で、アクティビティの大きさによって間仕切りなどで空間を区切れるようになっていました。他のフロアにも様々な工夫があり「新しいものを生み出すには、創造性のある空間が必要」という意図があるそうです。

 

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今回の特別授業ももちろんロボットをテーマとしたもので、

課題は「未来のテレプレゼンスロボットを考える」です。

 

講師は大阪工業大学ロボティクス&デザイン工学部システムデザイン工学科 学科長の松井謙二先生。ゲスト講師として、テレプレゼンスロボットを実際につくられている合同会社 iPresenceの代表、クリス・クリストファーズさんが参加されました。

 

まずは本日の課題である「テレプレゼンスロボット」について、クリスさんから解説がありました。テレプレゼンスロボットとは「そこに居ずに、そこに居ること」を可能にするロボットだそうです(写真は同社"Double"の実演です)

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Skypeのような動画通話機能に、遠隔操作で画面を移動したり、向きを変える機能を追加することで、遠隔地の人がまるでそこにいるかのようにふるまうことができるそうです。(詳しくは、iPresenceさんのホームページをご覧ください)

http://ipresence.jp/double/

 

また、クリスさんからは「新しいものを世に出す=未来をつくる」ということだというお話がありました。Future(未来)=Past(過去)+Time(時間)だが、

Wanted Future(欲しい未来)=Existing Technology(現在のテクノロジー)+Missing Technology(足りないテクノロジー)という言い方もでき、技術が望む未来をつくりだすことができる、という生徒さん達へのメッセージでした。

 

 

続いていよいよ、未来のテレプレゼンスロボットをグループで考えていきます。

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アイディアを描きやすくするために、自身の1日の流れを思い出し、時系列でタイムラインに落とし込んでいきます。

毎日の生活も、あらためて思い出してみると、苦戦するようで、学校で使用している生活記録冊子を参照しているグループもありました。

 

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次に、一日の生活の中で、特に学校で過ごす時間から、自分が大切にしている時間を選び出し、代理人のロボットにお願いしたいこと(自分がその場にいなくても、自分の代わりにぜひやってほしいこと)を書き出していきます。最初は「黒板を取ってほしい」「実験がしたい」などテレプレゼンスを前提に考えていた生徒さん達ですが、次第に、学校生活での困りごとを解決する方向での要望があふれ出してきます。例えば「先生が言っていることをまとめてほしい」「代わりに勉強してほしい」「代わりに部活の筋トレをしてほしい」「忘れ物を届けてほしい」など、代行度が高くなっていくのが、見ていて面白かったです。

 

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それらの要望をもとに、具体的にロボットを使った実現の方法を考えていきます。

紙に絵を描く形で表現し、発表となりました。

 

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電子マネーでチップを払って色々やってくれる「ぱしりロボ」」「海で魚を捕ることができる」「おなかが冷蔵庫」「忘れ物や無くし物を画像解析で教えてくれる」「寂しい時に遊んでくれる」といった、様々な機能を持つロボットの案ができあがりました。それぞれがテレプレゼンスか、というと、少し離れてしまったものもありましたが、だからこそ、これからのテレプレゼンスの可能性を広げてくれるようなアイディアが多く出たように思いました。

 

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最後、松井先生、クリスさんからの講評も「みなさんの発想が豊かなので、この夢を持ち続けて実現してほしい」「それぞれのアイディアに夢があるが、それを誰が早く実現するかが大切」など、生徒さん達の発想力に触れたものでした。

 

今回特別授業を見学させていただき、イノベーションはどこから起こるのかな、ということをあらためて考えさせられました。色々な制約から自由な中1の生徒さん達。この部分を大切にしながら、企画を詰めていく力がついてくると、本当に素晴らしいでしょうね。そしてこの特別授業に関わった、講師の先生、中学の先生など、全ての大人がその成長を見守り、楽しみにされている様子を感じることができました。

 

見学をさせていただき、ありがとうございました!