イノベーションを促進する場のデザインとは?(Hack Osaka レポート2)
前回に続き、Hack Osaka Stage areaのレポートです。
↓前回はこちら
これからの社会で求められる、デザインの能力とは?(Hack Osaka レポート1) - Arts in Schools
Engine Shed(エンジンシェッド)のディレクター、Nick Sturge(ニックステージ)氏の講演がありました。タイトルは、
「Enabling a culture of innovation, what has 800 years of trade taught us」
でしたが、特に、イノベーションを促進する場のデザインが、面白いと思ったので、ご紹介します。
エンジンシェッドは、イギリス南西部、ブリストル市にあるイノベーションハブで、ブリストル大学のビジネスインキュベーターからスタートした組織です。ブリストル大学で支援を受けて起業した学生達が、ブリストル市内にとどまってくれるようにと、ブリストル大学と行政が連携し、つくられました。
大学で電気とテクノロジーとエレクトロニクスを専攻したステージ氏は、テクノロジーに関わる会社、ビデオフォンの会社などを経て、現職はエンジンシェッドで、ディレクタ―として、企業や個人、行政をつなぎ、イノベーションが起こる支援をされています。
「イノベーションのエコシステムをどううまく回していくか」というのが、エンジンシェッド、そしてステージ氏の課題だそうですが、そのためには、中立な場づくりとともに、
自信(にあふれた個人)、行政、ビジネスの良い関係構築が必要ということです。
お話を聞いて面白いなと思ったのは、個々人のセルフコンフィデンス=自信が強いほど、イノベーションが促進される、という考え方です。人は自信を持っていると、アイディアを表明することに抵抗がなくなる。すると、エコシステムの中で行政や企業とコラボレーションをしやすくなるそうです。これは、行政の中の個人、企業の中の個人についても、同様に言えることだと思います。
私はこれまで、自信は個人の行動や気持ちを後押しするものだと認識していました。でもたしかに、その先には、他の人たちとの協働や、対等なコミュニケーションが、生まれますよね。
もうひとつ、ステージ氏の役割は、2つの異なるものの間にテンションをつくリだすことだそうです。コミュニティ間、カルチャー間、クラス間でテンションをつくりだすこと、それがイノベーションの1つのポイントだそうです。テンション、どういう日本語がぴったりくるのかわかりませんが、良い緊張感、関係性ということかな?
コンサバティブな都市からコラボティブな都市に変わることを目指す。
投資家、インキュベーター、大学が、協力すること。
中立な場と良い関係性をつくり、イノベーションを加速すること。
起業家や個人だけでなく、これが様々な企業とも行われているということで、場や関係づくりのプロセスについて、もっと知りたいなと思いました。
また、次に登壇されたピッツバーグの例もそうでしたが、大学がエコシステムに入っていて、内容的にも人材的にも良い役割を果たしているのではないかな、と感じました。