秋の夜長は読書で価値観をゆさぶってみませんか―「建築家なしの建築」「集落の教え100」のご紹介

こんにちは。清水です。

 

今、アート、デザイン教育についての原稿をまとめているのですが、

人間の価値観を変えたり、ゆさぶったりするのに、アートやデザインが果たす役割は大きいなとあらためて感じています。

 

そんな中、学生時代に読んだ本を思い出したので、2冊、紹介します。

 

1冊目

「建築家なしの建築」

バーナード・ルドフスキー著、渡辺武信訳 鹿島出版会

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ルドフスキー氏はアメリカの建築家なのですが、たぶん建築よりもエッセイのほうが有名で、本書を始め、建築について、ファッションについて、文化について、独自の視点で切り込み、読者に示してくれます。西洋文化が正しく正統だ、と考えられがちだった時代に、そんなのはナンセンス、異文化や注目されないカテゴリーにもこれほど魅力的なものがあるんだよ、と教えてくれるものです。

「建築家なしの建築」では、住まいの紹介が多いのですが、地面や岩を掘りこむ、水の上に浮かぶなど、その環境、文化ならではの独特の形をした建造物が、写真とともに紹介されています。それぞれの場所で最適解としてデザインされた答えが、外部の人達にはユニークな形だと一種アートのように鑑賞される、という関係性が、あらためて面白いなあと感じます。

 

2冊目

「集落の教え100」

原 広司著、彰国社

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原氏は京都駅を始め、大きな公共建築を数多く手掛けられている日本の建築家です。

京都駅もそうですが、原氏が手掛ける建物は大空間でありながら、一人ひとりが心地よく感じられるように、小さな場所や装飾が設けられています。「集落の教え100」は、そのデザインのヒントが数々の集落に隠れていることを教えてくれます。それぞれの事例には原氏の言葉が添えられていて、時に問いかけのようなその表現に、写真に加え、もうひとつの視点をもらうことができます。 

 

 

 

生意気で一直線な建築学科の学生だった私は、「形には根拠が必要なんだ!」とかつぶやきつつ、これらの本を夢中で読みました。赤ボールペンで線が引いてある部分を見ると「え?そこに注目したの?」と笑えます。それで、先生にラルフ・アースキンという建築家を紹介していただき、別の世界を発見するのですが、またそれば別の機会に書ければと思います。

 

何か思考が固まっちゃったなあという時、よかったら読んでみてください。