アートは今もこれからも全ての人に必要です

何でも手に入る世界から、そうでもない世界へ

ひとつ前の記事でご紹介しました、ものづくりの授業、MESH公式ブログに掲載していただきましたので、あらためてご報告をさせていただきます。田園調布学園の高校1年生を対象とした、選択制の授業でした。プログラムや、生徒さん達のプレゼン資料も一部見る事ができますので、よろしければご覧ください。

https://blog.meshprj.com/

 

こちらの授業では、前期と後期にそれぞれ1回ずつ、自分や家族の困りごとを探して、解決のためのデザインを行うのですが最初はアイディア出しに苦労する姿も見受けられました。ある生徒さんからは「もう世の中には便利なものがあふれているから自分達が考えられる新しいものなんてない」という声もあがりました。

 

たった半年前のことですが、遠い昔のように感じます。今はお金を出してもすぐには手に入らないものがいくつも思いつくような世の中になりました。一時的であることを願いますが、それでも毎日を生きていく私達にとっては、対処をしなければならないことも出てきています。

 

今までにないくらい、みんなのクリエイティブが発揮されている

このような状況下でも、面白い動きはたくさん出てきています。

中でもすごいなあと私が感じるのは、多くの人が、新しいことにトライしている状況です。オンライン会議、授業配信、それまで実施していなかった飲食店のテイクアウトスタート、習い事のオンライン化、マスクやシールド、防護服の手作り、素材提供、レシピ公開、ライバル企業どうしの連携、別業界の企業からの製品、生産ライン提供など、枚挙にいとまがありませんし、まだまだこれからも「そうきたか!」という新しい動きが出てくると思います。物理的移動や、物質的な制限がかかる中、それを補うまたは代替するために新しいアイディアが次々と生まれ、実行されている様子に感動する毎日です。

 

先日インタビューを掲載させていただいた、神奈川大学の道用大介先生は、3Dプリンタで打ち出せるシールドのデータを公開され、それを多くの方が活用されています。また、企業でも働き方に新しいルールがつくられたり、一人ひとりが安全に、快適に過ごせるように日々小さな工夫が重ねられています。メディアでもおうち時間の楽しみ方がたくさん紹介されていて、みなさんの豊富なアイディアと技術に驚かされます。

 

もちろん、必要にせまられて、ということも多いと思いますが、ここまでみなさんのクリエイティブがものすごいスピードで発揮されている状況って、なかなか無いなと思うんです。その理由については以下のようなことが挙げられるのではないでしょうか。

 

・正解が見えない状況下だからこそ「こうやってみない?」というアイディアを出しやすくなっている

・同じく正解が見えないからこそ「とにかくやってみよう」という同意が得られやすくなっている

・誰かが何かしてくれるまで待っていられないから、「つくる人」「受け取る人」という役割を超えなくてはいけない局面が多い。

 

つまり、普段は「自分はクリエイティブじゃない」と思っている方の大半は、クリエイティブだということです。そしてみなさんがこれまでにインプットしてきたことや試行錯誤してきたことが、今発揮されているんだと思います。仕事上の経験だけでなく、一つのものを様々な角度から見て考える経験や、何かを作ってみる経験も。これまでに蓄積してきたアートの力が発揮されているんです。

 

アートはこれからも全ての人に必要です

このような状況下で、アートや芸術の必要性について否定的に論じられるケースもあるのかもしれません。でも私はこれまでもこれからも、アートは全ての人に必要だと思っています。この先も全ての人がクリエイティブを発揮してより良い方向に向かうためには、アートというインプットは、やめてはいけないと思います。色々な形でのインプットをし、自ら手を動かしてアイディアを形にしてみて、納得いくまで作り直し、描きなおし、アイディアをさらして、得して前に進むのです!

難しいシチュエーションもあるとは思いますが、必要だという思いがある限り、それに代わる方法もたくさん見つかるはず。私もそのための新しい方法にトライしています。それはまたあらためてご紹介させていただきますね。

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#アート教育 #STEAM教育