プラットフォームはどう「デザイン」されるのか―「プラットフォーム革命」を読んで
みなさまこんにちは。清水葉子です。
例年よりあたたかいとはいえ、いよいよ本格的に寒くなってまいりましたが、風邪などひかれていませんか。
私は9月、10月と原稿やインタビューが立て続けにあり、終わったところでどっと疲れが出ました。が、休息もかねて色々な本を読むことができました。アートを題材にした小説にも夢中になりまして、そちらについても改めて書きたいと思うのですが、本日はデザインの視点でビジネスのプラットフォームについて書かれた、
「プラットフォーム革命」-経済を支配するビジネスモデルはどう機能し、どう作られるのか について、ご紹介をいたします。
こちらは、自らもプラットフォームの運営、構築支援をされているアレックス・モザド氏、ニコラス・L・ジョンソン氏による、「プラットフォーム」というビジネスモデルの分析と、そのデザイン方法の解説書です。
ビジネスにおけるプラットフォームとは、消費者と、サービスやプロダクトの提供者(本書ではプロデューサーと呼ぶ)を結ぶためにつくられたマーケットのことです。
様々なアプリが購入できるApp Storeや、Facebook、You Tubeもそうです。
プラットフォームでやり取りされるものは、様々ですが、そのプラットフォームが無ければ、価値を生まなかったものも多くあります。
空き室や空家を宿泊施設として提供する、airbnb(エアビーアンドビー)も、そうですね。
上の動画では、airbinbの創業者であるジョー・ゲビア氏がそのデザインについて語っていますが、本書でも、それらがどうデザインされているのか、さらに、プラットフォームとして機能するまでにどういった準備が必要なのかについて、様々な事例を用いて解説がされています。
インターネットの発達により、多くのプラットフォームが実現可能になった一方、機能するものとして作り上げるには、たくさんのアナログな努力が必要だし、やはりアナログでうまくいかないものはデジタルでもうまくいかないということが、本書を読んでよくわかりました。ただ、優れたデザインにより良いプラットフォームをつくることができれば、消費者とプロデューサーの双方が良い影響を与え合い、単独の提供者だけでは無しえないような大きなムーブメントを起こすことができるんだなと、本書を読んで感じました。
一人ひとりがアイディアを出し合ってつくる面白い場、それが育つ環境をデザインするのが、プラットフォームをつくるということなのかもしれません。巨大なプラットフォームにばかり目が行ったり、脅威に感じてしまうこともありますが、まだまだ新しいプラットフォームができる余地があるのかなと、期待を持てる本でした。