これからの教育ではより個が注目される -「未来の教室」とEdTech研究会「第1次提言」を読んで

みなさまこんにちは!清水葉子です。ブログ、久しぶりの更新です。先日、経済産業省の教育に関する有識者会議「未来の教室」とEdTech研究会から第1次提言が公表されましたね。

 

研究会の目的は、日本社会が「創造的な課題発見・解決力」をつけること。

大学、中学校・高等学校、企業、メディアなどの有識者による11名の委員を中心としたメンバーによる4回の会議と、現役の大学生・高校生・中学生や公教育・保育関係者、学習塾やEdTech企業、人材派遣企業等が参加した計5回のワークショップの結果が、提言書としてまとめられたものです。以下のページから、PDFファイルをダウンロードして閲覧できますので、ご興味のある方はぜひお読みください。

 

www.meti.go.jp

 

私も提言書と参考資料を読ませていただき、インターネット環境を前提とした技術をうまく取り入れたり、先生の関わりや、探究の機会を提供することにより、これまでより個人にフォーカスした学びの環境が実現できるようになるのでは!と可能性を感じました。私なりの解釈も入ってしまうかもしれませんが、可能性を感じたいくつかのキーワードを取り上げます。

 

◆学びの生産性

学習にかけた時間に対し、どのくらいの能力が得られたかを表す言葉。提言では従来型の一斉授業や教科ごとに系統立てられた知識を覚えるよりも、もっと生産性の高い学び方があるのでは?という提言がなされています。

 

◆学習者中心

学年や年齢、その人がいる場所によって学べる内容が限定されるのではなく、学習者本人が学びたいことを、学びたいタイミングで、自分に合った学び方で学べる状況です。EdTech(教育改善に貢献するテクノジー)によって、例えば授業動画やオンラインレッスンをすることで、学習者への細かな個別対応が可能になるとともに、個々の学習記録をAIが解析して、これから学習(復習)すべきところを教えてもらえる、という仕組みは、すでに可能になっているようです。

 

◆先生の役割の多様化

これまでのように全員が「教える先生(授業をして知識を授ける)」になるのではなく、生徒一人ひとりの学習状況を把握し個別に対応したり、子どもの探究、思考を育てるために、生徒に問いかけをしたり、寄り添ったり、生徒どうしの学び合いを助ける役割が、これからますます先生にもとめられるようになるのでは?という問いかけがありました。

 

◆個人が責任を伴う「自由」を手に入れて幸せに生きる

決められたことをうまくやる以上に、自分なりの問いを立てて、自分なりのやり方で、自分なりの答えにたどり着く力が、これまでよりもさらにもとめられる社会になりそうです。自分も自由で、他者も自由であるためには、どうすれば良いのか?提言ではひとつの方法が示されてはいますが、他にもありそうです。

 

 

テクノロジーの発達により、学校で先生という人からしか受けられなかった知識の伝授が、どの場所からでも、対何人でも、可能になった。だから、それぞれが今学びたい内容を学びたいペースでも学べるようになった、というのが、Ed-Tech導入の一番の効果だと思います。

 

ではそれを使って実現できる教育は何か?関連して変わるのは何なのか?というと、

実現できる教育は・・・・

・それぞれの学習効率が上がる

・それぞれが学びたいスタイルで学べる

・それぞれが自分の興味関心を深められる(そこに時間が使える)

 

関連して変わるのは・・・・

・先生のあり方、関わり方

・校舎などの具体的な場所の使い方

・学習ソースの集め方(学校外からも得やすくなる)

 

といったところでしょうか。

 

提言書にはこのような問いかけ+それぞれの具体的方法の案が多く出されています。これから教育に関わる人達がアイディアを出し合い、試行錯誤をしていく必要があると思います。

 

ここからは個人的な見解ですが、この方向性がより具体的になり、学習指導要領の改訂や、今の学校の規制緩和にもつながれば、とても魅力的な未来の教室が出来上がるのではないかと思います。

 

そしてそうなった時にこれまでよりもずっとフォーカスされるのは「個(個人)」。自分に必要なものを選び取り、自分にあったやり方で進めていくには、自分についてよくわかっているとともに、自分が向かっていく(向かっていきたい)方向も見えている必要があります。この個をどうやって確立していくかについては、提言書でも記載はありますが、詰め切れていないのではないかなあ、というのが、個人的な感想です。もっというと、この部分にアート教育が求められている気がしてなりません。具体的なアイディアもありますが、またあらためて書きたいと思います。

 

みなさんがこの提言をお読みになってどう思われたかも、ぜひうかがいたいです。