アートは必要かという議論はそろそろ終わり、アートの力はどのようにつくかの具体的方法論へ

みなさまこんにちは。清水葉子です。

2017年も終わりに近づいてまいりました。みなさまにとってどのような1年でしたか?

 

私個人としては、このブログで書くという行為を通して、たくさんの出会いができたことに本当に感謝しています。取材をさせてくださった方はもちろん、ブログを見て下さった方、新しい出会いを作ってくださった方、アートと教育について話をさせてくださった方。本当にたくさんの方にお世話になりました。そして忘れっぽい私としてはその感動や思い、考えたことをブログに残しておくことで、時々読みかえして思い出すことができるので、このブログは大切なノートにもなっています。

 

2016年9月末からスタートし、83記事書いてきて、振り返って思うのは、この1年ちょっとの間に、日本において、アートが人生に必要だという認識が、かなり一般的になってきたということです。しかもそれは表現、芸術の世界だけの限定的なものではなく、ビジネスや、心のあり方、物の考え方や見方、コミュニケーションなど、多岐にわたります。もしまだアートは自分に関係ない、と思っている方がいらっしゃったら、その考えは今すぐ捨てることをお勧めします!

 

アート系の人は何を言っているかわからない、という方には、こちらの本がおすすめです。

世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」 (山口 周氏)

http://amzn.to/2Ds5Ouc

レビューは来年書きますが、アートの必要性についてとてもロジカルに解説してくださっています。

 

そしてこちらも。

教育とアートについての本 その1「エグゼクティブは美術館に集う」 - Arts in Schools

 

ビジネスマンがビジネススクールではなくアートスクールに通ったり、美術館に集ったり、コンサルティングファームがデザインファームを買収したり、枚挙にいとまがないほど、アートはビジネスに必要という認識が広がってきています。

 

また、アートが心に与える影響として「アートセラピー」という言葉もずいぶん浸透してきています。アートは生きる力を育てるというメッセージを、具体的なワークとともに、紹介されている東北芸術工科大学の有賀先生の書籍

教育とアートについての本その4-本当はすごい”自分”に気づく 女子大生に超人気の美術の授業 - Arts in Schools

 

アート活動を通して第3の居場所をつくられている桑原則子さんの活動

第3の居場所としてのアート:アートセラピーと「自由創作アトリエ はらっぱ」 - Arts in Schools

 

を通して、アートがマインドに与える力を考えることができます。

 

美しい作品をつくることだけがゴールではなく、表現を通して自分と向き合い、考え続けるという観点でアートをとらえる意味を教えてくれるのは、

 

岡本太郎さんのこちらの書籍

教育とアートについての本その3 「今日の芸術」-芸術をすべての人に - Arts in Schools

また、関西大倉中学校・高等学校さんの自身と向き合う授業

自身と向き合う美術の授業―関西大倉中学校・高等学校 その1 - Arts in Schools

自身と向き合う美術の授業―関西大倉中学校・高等学校 その2 - Arts in Schools

自身と向き合う美術の授業―関西大倉中学校・高等学校 その3 - Arts in Schools

自身と向き合う美術の授業―関西大倉中学校・高等学校 その4 渋谷信之先生インタビュー - Arts in Schools

 

などです。

 

そして、芸術作品ではないアーティスティックな表現ってなんなのか?というと、本当にたくさんあると思うのですが、これまでブログでご紹介した中でいうと、たとえば、イノベーションを下支えする動きです。

キャリア支援の再デザインで、働き方の未来を変えていく! ―関西大学+TSUTAYAによるスタートアップカフェ大阪の挑戦。―その2 - Arts in Schools

 

IoTスタートアップの面白さと可能性ー小笠原治さんの講演より - Arts in Schools

 

デザインは問題解決で、アートは問題提起、という定義もありますが、関西大学さんのスタートアップカフェや、小笠原さんが監修されたDMM.make AKIBAは、デザインの中でも、今までなかったものを形にし、みんなが認識できるようにしたものは、アートと言えると思います。

 

この「世界の見え方を変える」ことは、言葉でもできます。

同志社女子大学の上田先生に教えていただいた、学習姿勢の定義は、新しい世界の見え方を教えてくださるので、アートと言えるでしょう。

同志社女子大学上田ゼミの、プレイフルな学びの環境ーその4 - Arts in Schools

 

長くなってしまいましたが、こういった範囲でアートをとらえることが、ずいぶんと世の中に浸透してきた、ということです。(全部は紹介しきれませんでしたが、つまり、このブログで紹介してきたことは全部アートに関わることだということです。)

 

次は、このようなアートの力、どのようにつくのか?という問いが大切になってきます。鑑賞なのか、制作に没頭することなのか、哲学なのか、話すことなのか?

たぶん、これだ!にはならないと思うのですが、今までの「アートが必要→やりましょう」の流れを見ていると、アートについての問題提起をされたご本人がもっとも親しみのある方法が、その実施方法として提案されているケースが多いと思います。その方法はそれぞれに面白いのですが、そこの共有や議論がもっと盛り上がると、たくさんの選択肢につながるのではないかと、思うんです。教育に近づけると、どんな場が準備されていて、どんな人が関わって、どんな素材があって、ということも、もっと議論されていいと思います。

 

来年はアートに関して「How can we do it?」の議論が、もっともっと盛り上がりますように。そして、私もそこに少しでも関われたらうれしいなと思います。

 

年末のお忙しい中、最後まで読んでいただきありがとうございました。

みなさま、良いお年をお迎えください。

来年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

清水葉子