第3の居場所としてのアート:アートセラピーと「自由創作アトリエ はらっぱ」

みなさまこんにちは。コアネット教育総合研究所の清水葉子です。先日、大阪府茨木市にある「自由創作アトリエ はらっぱ」にうかがいました。こちらを主催されている桑原則子さんは、子ども達の指導に加え、大人向けの絵手紙教室の開催や、アートセラピーの実施もされています。今回は、「アトリエはらっぱ」の見学とともに、アートセラピーについて、桑原さんがアートから受けた影響ついて、お話をおうかがいしました。

 

「自由創作アトリエ はらっぱ(以下アトリエはらっぱ)」は、3歳~中学生までが通っている絵画、造形教室です。教室は月2回で、かく日、つくる日が1回ずつ。それぞれに、テーマがある日と、自由制作の日があります。

 

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見学させていただいたのは、テーマ制作の日。母の日が近かったので、お母さんのプレゼントにもできる、UVレジンを使ったアクセサリーづくりをしていました。

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テーブルの上にはビーズやシールなど、たくさんの材料が。それを台座の上に、自由に組み合わせていきます。

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もくもくと取り組む子、「ここどうしよ」「先生こういうのない?」などと話しながら取り組む子と様々ですが、桑原さんは特にこうしなさいとは言わず、子ども達を見守ります。

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出来上がった作品にはUVレジンを流し込み、UVをあてる機械に入れて少し待つと完成です。

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お母さん、喜んでくれそうですね!

 

 

制作が終わると、自由な時間。絵を描いたり、制作をしたり。内容も、描く場所も、フリースタイル。子ども達はそれぞれ好きなスタイルで、楽しんでいました。

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アトリエには色々な画材が。本もたくさんあります。

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自由制作の日は、色々な画材や材料を使い、自由に表現できるそうです。

<自由制作の様子>

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桑原さんの子ども達への声かけは、とてもフラット。作品や制作についてのアドバイスを桑原さんからすることはほとんど無く、質問があったら答える、というスタンスです。逆に「ゴールデンウィークどこにいったん?」「あの映画見た?」といった日常に関する問いかけが多く、話したい子は色々なことをおしゃべりしながら作業を進めています。

 

見学にうかがう前、先生に技術を教えてもらうというスタイルをイメージしていた私は、不思議な印象を持ちました。でも、子ども達はとてもリラックスした様子で、自分達でどんどん手を動かしていきます。なぜか?その秘密は、「アトリエはらっぱ」のコンセプトにありました。

 

 

「アトリエはらっぱ」には、アートセラピーの要素が多く取り入れられています。まず、アトリエでは、自分が思うペースで、好きなことをする時間を持つことができます。黙々と取り組んでもよいし、おしゃべりしても良い。という場は、ありそうでないのではないでしょうか。そして、そのような場で、生徒達は次第に自分の思うように動けるようになっていくそうです。また、上手な作品をつくることが目的ではなく、ありのままを表現することが、こちらでは大切にされています。だから桑原さんは「ここをこうしたら?」とは言わず「ここはどうするの?」と聞くそうです。

 

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それは、「はらっぱのおやくそく」にも表れています。邪魔されない、評価されない場で、最初は何をすればよいかわからない子どもも、だんだん自分の表現ができるようになるそうです。「アトリエはらっぱ」に通っている子ども達は、もちろん最初は絵が好き、工作が好き、というきっかけなのでしょうが、学校でも家でもない、第3の居場所として、この場所を必要としているのではないかな、と感じました。

 

「絵を描く人は長生きする人が多い」が桑原さんの持論です。なぜなら絵を描く人は、自分の内面をぶつける先があるから。絵は上手い下手は関係なく、描くことで発散できるものだそうです。実はこれを使ったのがアートセラピー(絵画療法、色彩心理)と呼ばれるもので、言葉にできない気持ちを、絵を描くことで表現し、それによって自分の気持ちを整理したり、その絵を介して相手との対話を可能にするそうです。桑原さんはアートセラピストとしても活動されていて、今年は、子育てに悩んでいる方の訪問アートセラピー事業も始められるそうです。

 

何かについて悩んでいる人は「絵を描いている場合じゃない」と考えてしまいがちですが、そのような時こそ、絵を描くことで気持ちの整理ができたり、リラックスできることもあるとか。

 

確かに、大人になると、下手だと思われるのが嫌という気持ちが出たり、苦手意識が出てしまい、だんだん描かなくなってしまいます。でも、絵のうまい下手は関係なく、描くことで発散できるものだとしたら。そしてそれが長生きにつながるものだとしたら!描かない手は無いのではないでしょうか。アートが人に与える影響の大きさについて、あらためて考えさせられました。

 

そして、桑原さんご自身の人生にも、アートは大きな影響を与えています。

くわしくは、桑原さんのブログをご覧いただきたいのですが(最後にリンクを貼っています)、子育てをしながらもアートを生活の一部としてお持ちだった桑原さんが、あるきっかけで絵画療法という言葉に出会い、これだ!と思い、2年をかけて学び、ご自身のライフワークにされた、というお話からは、アートによって自由になったり、生きる目的を見つけられるということを、桑原さんご自身が体現されているんだなあ、と感じることができました。

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桑原さん、お忙しい中アトリエを見学させていただき、また、インタビューをさせていただき、本当にありがとうございました。アートがある人生は、やっぱり良い!

 

ameblo.jp