書籍紹介

探究の探究4.子どもに必要で、でも今足りていないのは、余白かもしれない

2020年から小学校、中学校、高等学校で導入されはじめた、新学習指導要領(中学は2021年、高校は2022年に全面実施)に示されていることもあり、今広く注目を集めている「探究」。この言葉自体は急に昨年から出てきたものではなく、国内でもこれまでに多くの…

探究の探究3.親が手をかけすぎないほうがイノベーターは育つ?

探究について考えるための本のご紹介です。 www.amazon.co.jp 未来のイノベーターはどう育つのか(原題:CREATING INNOVATORS The Making of Young People Who Will Change The World) トニー・ワグナー著 藤原朝子訳 2014年 先日ご紹介した「未来の学校」…

探究の探究2 High Tech High のプロジェクト型学習とは

アメリカ、サンディエゴにある学校 High Tech Highでの教育を紹介した映画「Most Likely to Succeed」を観ました。 映画のディレクターが、探究の探究1でもご紹介したトニー・ワグナー氏、カーン・アカデミーの創立者、サルマン・カーン氏、教育思想家のケ…

探究の探究1.誰もがクリエイティブで信頼しあえる社会を築くための7つのスキル

探究について考えるための本のご紹介です。 未来の学校(原題:The Global Achievement Gap) トニー・ワグナー著 陳玉玲訳 2017年(原書は2008年) 「学校は何を学ぶ場所か。卒業して何を目指すのか。」 自分自身について、自分の子供について、誰もが考え…

仕事で感情、動いてますか?-「ビジネスパーソンのためのクリエイティブ入門」を読んで-

「ビジネスパーソンのためのクリエイティブ入門」の著者、原野守弘さんのお話を初めてうかがったのは、今から10年ほど前です。 宣伝会議のクロスメディアについての連続講座の中でお話を伺う機会があり、そこでリカちゃんの40周年キャンペーン「Licca World …

小説からアートを楽しむ-原田マハさんの小説について

みなさまこんにちは。清水葉子です。 寒い日もありますが、梅も咲き、だいぶ暖かくなってまいりましたね。春も、もうすぐです! さてみなさんは、絵画を、どのように楽しみますか。色、形、バランス、筆遣い、モチーフ、ストーリー?私が発見した最近の楽し…

芸術鑑賞も、創作活動である-「20年経った今、日本の対話型鑑賞はどうなったのか?」に参加して

みなさまこんにちは。清水葉子です。早いもので今年ももう3月!まだ寒い日もありますが、梅や桜が楽しみな季節がやってきますね。 さて、少し前になりますが、1月26日、NPO法人Educe Technologiesさん主催の勉強会「20年経った今、日本の対話型鑑賞はどうな…

セルフマネジメント力は、これからの教育の場にも必要な力―「管理ゼロで成果はあがるー『見直す・なくす・やめる』で組織を変えよう」を読んで

昨年末のブログにも書かせていただきましたが、教育の領域では、これからますます学習者主体の環境と学びの個別化が進んでいきます。学習進度を周りに合わせなくてよいのは学習者にとって大きなメリットですが、それは同時に、自分で学びを進めていく難しさ…

プラットフォームはどう「デザイン」されるのか―「プラットフォーム革命」を読んで

みなさまこんにちは。清水葉子です。 例年よりあたたかいとはいえ、いよいよ本格的に寒くなってまいりましたが、風邪などひかれていませんか。 私は9月、10月と原稿やインタビューが立て続けにあり、終わったところでどっと疲れが出ました。が、休息もかねて…

演劇というアートについて―「わかりあえないことから-コミュニケーション能力とは何か」を読んで

みなさまこんにちは。清水葉子です。 暑かった日本の夏がようやく過ぎ去り、すっかり秋になってまいりました。 1年を通して行事があまり多くない10月、11月は、読書が進むので私が好きな季節です。 さて本日は、演劇というアートについて書いてみたいと思い…

個性はinputにもoutputにも発揮される-自分の強みを見つけよう-「8つの知能」で未来を切り開く を読んで

こんにちは!清水葉子です。 今年は全国的に猛暑が続きましたが、みなさまお変わりないでしょうか。 これだけ暑いと毎日生きているだけで自分を褒めたくなりますね。でも本日で8月も終わりなので、あとは涼しくなる一方です! さて、本日ご紹介するのは、東…

経済的に自立するためのデザインとは―「世界を変えるデザイン」を読んで

みなさまこんにちは!清水葉子です 本日は、デザインについての書籍紹介をさせていただきます。 「デザインは誰のために、また、何のためにあるのか?」 この大きな問の中でも「誰」について、ぐっとフォーカスして考えられるのが、 「世界を変えるデザイン…

「ティンカリング」が学びを発明するー「作ることで学ぶ―Makerを育てる新しい教育のメソッド」を読んで

みなさまこんにちは!清水葉子です。前回の投稿から2週間あいてしまいましたが、今年度も、教育とアートについて発信をしていきます。よろしくお願いいたします。 さて本日は、こちらの書籍をご紹介します。 「作ることで学ぶ―Makerを育てる新しい教育のメ…

教科を超えた協働がSTEAM教育を実現する―「AI時代を生きる子どものためのSTEAM教育」を読んで

みなさまこんにちは。清水葉子です。中高入試シーズンが終わると、あっという間に新入生が入ってくる新年度となりますね。このタイミングでICT環境を整えられたり、カリキュラムを変えられたりという学校が多いと思いますが、授業の運営方法や、さらに言うと…

自主性と創造性を育てる、モンテッソーリ教育の環境設定

みなさまこんにちは。清水葉子です。 本日は、モンテッソーリ教育について、書きたいと思います。 この1年半、こちらのブログでも、また、それ以外の活動でも、子どもの創造力を高める環境について考えてきましたが、振り返ってみると、モンテッソーリ教育…

子どものほうが美術に近い!という発見-「子供の世界 子供の造形」を読んで

こんにちは!清水葉子です。社会全体にアートの必要性が高まっている中、子どもの頃からアートに触れるということはどういうことなのか、また、子どもの表現力はどのように育つのかについて知り、環境を準備することは大切だと思います。その方法を模索する…

経営におけるアートとサイエンスのバランスとは? 「世界のエリートはなぜ『美意識』を鍛えるのか」を読んで

みなさま、新年あけましておめでとうございます。 本年も、どうぞよろしくお願いいたします。 2018年、今年はより、アートの必要性が叫ばれる年になると思います。もう、ビジネスの世界では始まっていますね! さてそんな年初にご紹介したいのは、山口周さん…

モチベーションの世代差の面白さ―「モチベーション革命―稼ぐために働きたくない世代の解体新書」を読んで

みなさまこんにちは。清水葉子です。先のブログで紹介した1→10driveさんのインタビューで、これからはモチベーションがキーになるというお話、何か一つのことに没頭することが、イノベーティブな力を伸ばす、というお話がありました。これは以前にご紹介しま…

秋の夜長は読書で価値観をゆさぶってみませんか―「建築家なしの建築」「集落の教え100」のご紹介

こんにちは。清水です。 今、アート、デザイン教育についての原稿をまとめているのですが、 人間の価値観を変えたり、ゆさぶったりするのに、アートやデザインが果たす役割は大きいなとあらためて感じています。 そんな中、学生時代に読んだ本を思い出したの…

イノベーションのためのアート・デザイン教育とは(書籍「RISDに学ぶクリティカル・メイキングの授業」から考える)

みなさまこんにちは。清水です。 先日、STEAM教育を提言するJohn Maeda氏と、RISD(Rhode Island School of Design)について当ブログで紹介しました。 本日はRISDの教育内容についての書籍紹介をしたいと思います。 RISDには、他の多くの美術・デザイン系の…

ジョン・マエダ氏が問い続けるシンプリイティ‐「シンプリシティの法則」

前回のブログでは、STEAM教育を提唱するジョン・マエダ氏をご紹介しました。 arts.hatenablog.jp 本日は、彼がMITで教鞭をとられていた頃に執筆された書籍をご紹介します。 ◇シンプリシティの法則 ジョン・マエダ氏 著 鬼澤 忍氏 訳(東洋経済新報社) Amazo…

シンギュラリティは怖くない! 「超AI時代の生存戦略」から見えたこと

みなさまこんにちは。清水葉子です。 昨年9月末より当ブログを始めまして、約9か月、記事数が先日50を超えました!もともと、アートがもっと教育に必要だ、という直感的な思いからスタートしたものですが、9か月たって・・・まださまよっています(^_^:)…

描くとわかることがある!―ラクガキコーチ、タムラカイさんのワークショップ

突然ですが、みなさんはラクガキが好きですか?ラクガキとまで行かなくても、何か相手に伝えたい時にそれを絵にしてみたりすること、ありますか? 個人的には大人はラクガキをする人と、しない人の大きく2つに分かれるなあ、と思います。あ、あたりまえ?で…

美術館は誰のためのもの?

みなさまこんにちは。ゴールデンウィーク、関西では晴天が続いておりますが、 みなさまいかがお過ごしでしょうか。 私は混んでいるかもしれないと思いつつ、京都に行ってみました。 京都府立陶板名画の庭、というところです。 京都府立陶板名画の庭 陶板に表…

パーソナルファブリケーションは、ものづくりをどう変えるか その4

みなさまこんにちは。今年の初めから、パーソナル・ファブリケーションの可能性を探求しています。探求しているうちに、スタートアップや、UXに寄り道をして、パーソナルファブリケーションという言葉の範疇からはずれかけていますが、あえてあと2回継続しま…

パーソナルファブリケーションは、ものづくりをどう変えるか その3

みなさまこんにちは。今年の初めから、パーソナル・ファブリケーションの可能性を探求する(心の)旅に出ている、清水です。 「Fab Life」に続き、読んでみたのがこちら。 「ワイアード」US版の元編集長で、自らも様々な形でものづくり、発明を行っている…

パーソナルファブリケーションは、ものづくりをどう変えるか その2

前回のブログに続きパーソナルファブリケーションについてです。前回紹介したようなFab LabやFab Cafeについて、モノづくりの楽しさや、プロトタイプをつくることの大切さは理解していたつもりだったのですが、Fabとイノベーションがセットで語られるシーン…

教育とアートについての本その5-地域を変えるミュージアム

ミュージアム、美術館には色々な役割があると思いますが、こちらの書籍「地域を変えるミュージアム」では「『地域を変える』チカラ」」に注目し、30のミュージアムが紹介されています。地域とのかかわり方や、それぞれのミュージアムの軸となる部分は事例…

教育とアートについての本その4-本当はすごい”自分”に気づく 女子大生に超人気の美術の授業

「アートセラピー」って言葉、聞いたことがありますか? 私はこれまであまり良く知らなかったのですが、こちらの本を読んで、その意味や効果が少しわかったような気がしています。 http://amzn.to/2fDGbwj 東北芸術工科大学で美術のワークショップを中心とし…

教育とアートについての本その3 「今日の芸術」-芸術をすべての人に

アートは特定の人でなく、どんな人にも必要だ!と、最近強く思っています。 先日もそんな話をしていたところ、岡本太郎さんの主張と似ているということで、こちらの本を紹介していただきました。 失礼ながら目力の強いおじさまという印象しかなく、岡本太郎…